経済産業省で開催している再エネ会議では、2024年度の出力制御見通しするにあたり、2023年度の出力制御見通しなどで推定していますが、九州エリアの2023年度の見通し値として
6.7%
の数値が利用されている。
出典:↓ 再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けて(2023年11月7日:資源エネルギー庁)の15ページ
しかし、九州電力で公表されている積算比率を見ると、非常に大きい値なので果たして現状がどうなのか?試算してみた。
1.九州エリアの積算比率
2023九州 | % | % |
月 | onライン | offライン |
4 | 25.52 | 43.23 |
5 | 18.53 | 47.06 |
6 | 2.79 | 10.17 |
7 | 0 | 0 |
8 | 0.16 | 0.83 |
9 | 0.75 | 2.11 |
10 | 3.3 | 9.13 |
11 | 0.51 | 1.93 |
12 | 0 | 0 |
1 | 0 | 0 |
2 | 0.38 | 1.65 |
3 | 1.58 | 7.59 |
出典:
九州電力送配電 オンライン代理制御の精算比率について (kyuden.co.jp)
2.オフライン事業者の出力制御量
試算にあたって九州エリアに発電所を所有していないので、私の北東北の発電所の発電実績で試算してみました。
(パネル出力56.568kw、パワコン出力49.92kw)
2023 | 積算比率 | 発電量kw | 制御量kw |
月 | %/100① | ② | ③=①×② |
4 | 0.4323 | 7,301 | 3,156 |
5 | 0.4706 | 6,939 | 3,265 |
6 | 0.1017 | 6,303 | 641 |
7 | 0 | 6,597 | 0 |
8 | 0.0083 | 6,350 | 52 |
9 | 0.0211 | 4,974 | 104 |
10 | 0.0913 | 5,322 | 485 |
11 | 0.0193 | 3,339 | 64 |
12 | 0 | 2,796 | 0 |
1 | 0 | 3,426 | 0 |
2 | 0.0165 | 4,118 | 67 |
3 | 0.0759 | 6,190 | 469 |
合計 | 63,655 | 8,303 |
年間制御率=8,303kw÷63,655kw=13.04%
出力制御実績に対し、8時間発電停止したものとして割増をされている制御量です!
売上が250万円の場合、32万6千円の減収、
売上が300万円の場合、39万円の減収
3.オンライン事業者の代理制御量
代理で出力制御したオンライン事業者に支払われる代理制御調整量を上記と同じように私の発電所の発電量と積算比率で算定します。
2023 | 積算比率 | 発電量kw | 制御量kw |
月 | %/100① | ② | ③=①×② |
4 | 0.2552 | 7,301 | 1,863 |
5 | 0.1853 | 6,939 | 1,285 |
6 | 0.0279 | 6,303 | 175 |
7 | 0 | 6,597 | 0 |
8 | 0.0016 | 6,350 | 10 |
9 | 0.0075 | 4,974 | 37 |
10 | 0.033 | 5,322 | 175 |
11 | 0.0051 | 3,339 | 17 |
12 | 0 | 2,796 | 0 |
1 | 0 | 3,426 | 0 |
2 | 0.0038 | 4,118 | 15 |
3 | 0.0158 | 6,190 | 97 |
合計 | 63,655 | 3,674 |
年間制御率=3,674kw÷63,655kw=5.77%
5.77%と少ない制御量となりましたが、
更に、九州エリアの事業者別の出力規模は、
代理制御対象のオンライン事業者618万kw
被代理事業者のオフライン事業者219万kw
(2023年4月時点調査)
なので1被代理事業者を2.8代理事業者で分担している勘定になります。
(618万kw÷219万kw≒2.82)
したがって、被代理事業者であるオフライン事業者の年間制御実績は
3,674kw×2.82=10,360kw
あれれ? 1日8時間の制御に換算されているオフライン事業者の制御量の8,303kwより多くなってしまいました!
これって、代理で制御した量より多い量でオンライン事業者に清算したということ??
年間制御率としては、
10,360kw÷63,655kw=16.27%
本州北端(私の発電実績)と九州の発電実績を合算しているので少し無理がありますが、
それでも、国の示す
6.7%
とは乖離しています!
更に調査してみると、この6.7%は、「実際の制御時間で評価した場合」とか訳の分からない補正をしている数値のようです!
九州電力送配電㈱から公表されている下記資料4ページより、
経済産業省の会議では、出力制御の実態を小さく見せようと必死のようです!
参考:2023年4月時点調査の九州エリアの連系済出力規模
(単位:万kw)
オフライン | オンライン | |
特別高圧 | 対象外 | 216 |
500kw以上 | 対象外 | 245 |
500kw未満 | 42 | 18 |
低圧10kw以上 | 177 | 139 |
計 | 219 | 618 |
比率 | 1 | 2.82 |
対象外:調査当時の代理制御の対象外
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。